「新NISAでETFと投資信託、どっちを選べば資産が増えるのかな」
「新NISAのETFと投資信託の違いがいまいち分からない」
「新NISAで投資信託とETFを比較検討中だけど判断基準が欲しい」
長期投資で成功するための投資商品選びは、資産形成の成果を大きく左右する重要な判断です。
結論から言うと、どちらが良いかは投資目的や個人の状況(資金・経験など)によって変わります。
本記事では、新NISAにおけるETFと投資信託それぞれの特徴やメリット・デメリット、さらには投資の際の留意点や具体的なおすすめ商品とともに解説していきますので、商品選びの参考になれば嬉しいです。
- ETFと投資信託のどちらが自分に合っているか
- ETFと投資信託の違い
- ETFと投資信託のメリット・デメリット
- 新NISAでETFと投資信託に投資する際の留意点
- 新NISAでのETFと投資信託のおすすめ商品
ETFと投資信託、それぞれがおすすめな人の特徴
新NISAにおいて、ETFと投資信託のどちらを選ぶべきかは、みなさんの特徴や目標によって、大きく異なります。ここでは、それぞれの商品がおすすめな人の特徴を詳しく解説します。
ETFがおすすめな人
ETFがおすすめな人は次のような方です。
- 手数料を安く抑えたい人
- 市場の動きを自分で判断したい人
- ある程度まとまった資金がある人
各項目を詳しく見てみましょう。
【手数料を安く抑えたい人】
- 年間の信託報酬が0.1〜0.3%程度と低コスト
- 長期投資の場合、コストの差が大きな利益の違いを生む

「信託報酬」とは、運用期間中に毎日計算される費用で手数料のことだよ
【市場の動きを自分で判断したい人】
- 株式と同じように、リアルタイムで価格を確認可能
- 値動きを見ながら、売買のタイミングを決められる
- 市況に応じて、機動的なポートフォリオの調整が可能



ETFは株式と同じように、リアルタイムで取引が出来るのが特徴だよ
【ある程度まとまった資金がある人】
- 最低取引単位があり、数万円からの投資が基本
- 市場の変動に対して冷静に対応できる判断力がある



ETFの最低購入金額は、投資信託より高めだよ
投資信託がおすすめな人
一方で、投資信託がおすすめな人は次のような方です。
- 投資初心者の人
- 少額から始めたい人
- 手間をかけずに運用したい人
各項目を詳しく見てみましょう。
【投資初心者の人】
- 運用のプロフェッショナルが資産運用を行う
- 運用報告書で詳しい投資状況を確認できる



投資信託は、初心者が投資を始めるのにオススメの商品だよ
【少額から始めたい人】
- 100円から投資できる商品もある
- 毎月の積立投資が設定可能
- 給与からの自動引き落としにも対応
- 複数の銘柄に分散投資ができる



投資信託は、100円からの購入や、自動の積立設定もできるよ
【手間をかけずに運用したい人】
- 積立投資の場合、売買のタイミングを考える必要がない
- 分配金の再投資も自動で行える
両方おすすめな人
ETFと投資信託の両方がおすすめな人は次のような方です。
- 資産形成の基盤を作りたい人
- 異なる投資目的を持つ人
- 投資経験を積みたい人
【資産形成の基盤を作りたい人】
- つみたて投資枠で、投資信託を購入
- 毎月定額の積立投資で基盤を構築
- 低コストのインデックスファンドを選択
- 長期・分散投資の習慣化
- 成長投資枠で、ETFを購入
- まとまった資金の運用に活用
- 機動的な投資判断が可能



投資信託はつみたて投資枠、ETFは成長投資枠を利用するのがオススメだよ
【異なる投資目的を持つ人】
- 投資信託で長期の資産形成
- 安定的な資産形成を目指す
- ETFで中期的な投資機会の追求
- 市場の変化に応じた柔軟な運用



投資信託で定期的に積み立て、ETFはタイミングを見て購入するという使い方もあるよ
【投資経験を積みたい人】
- 最初は投資信託でスタート
- 基礎的な投資経験を積む
- 市場の値動きに慣れる
- 分散投資の重要性を学ぶ
- 徐々にETFも組み入れる
- 投資の幅を広げる
- 自己判断の経験を積む
- より戦略的な投資を実践



投資信託の他にも新たに投資したい場合は、ETFの組入もオススメだよ
最後に、ETFと投資信託がオススメな人をもう一度まとめてみましょう。
ETFがおすすめな人 | 投資信託がおすすめな人 |
---|---|
自己判断で投資したい コストを最小限に抑えたい アクティブな投資も視野にいれている | 安定的な資産形成を目指したい 投資の手間を最小限にしたい 専門家の判断を活用したい |
このように、ETFと投資信託は相互に補完し合う関係にあります。投資目的や経験に応じて、両方の特徴を活かした組み合わせ投資も効果的な選択肢となります。
両商品を組み合わせることで、より柔軟で効果的な資産運用が可能になります。
新NISAにおけるETFと投資信託の基本的な違いを比較
新NISA制度では、ETFと投資信託の両方が投資対象として選択できます。ここでは、投資判断の基礎として、それぞれの商品の基本的な特徴と違いについて、まずは表で確認してみましょう。
特徴 | ETF | 投資信託 |
---|---|---|
上場状況 | 証券取引所に上場している | 上場していない |
取引価格 | リアルタイムで変動する市場価格 | 1日1回算出される基準価額 |
発注方法 | 成行注文や指値注文が可能 | 基準価額が確定するまで注文が成立しない |
手数料 | 売買手数料がかかるが、信託報酬は低め | 購入時手数料(販売手数料)がかかる場合あり |
最低購入金額 | 銘柄ごとに異なるが通常1万円以上 | 100円から購入可能 |
分配金の再投資 | 自動再投資はできない | 自動再投資が可能 |
新NISAの対象商品数 | 成長投資枠:279本 つみたて投資枠:8本 | 成長投資枠:1722本 つみたて投資枠:249本 |
運用スタイル | 主にインデックス連動のパッシブ運用 | プロによるアクティブ運用 |
購入場所 | 証券会社のみ | 証券会社や銀行 |
積立投資の可否 | 可能(証券会社による) | 可能(証券会社や銀行による) |
ETFと投資信託の主な違いは、「証券取引所に上場しているか、いないか」です。上場しているETFは、自由に売買ができる一方、投資信託は注文した時点では購入価格は分かりません。


投資信託は、ETFより手数料が高いものの、投資できる商品数は圧倒的に多く、また最低購入金額も低いため、初心者にオススメの商品となっています。



初心者の方は、投資信託がおすすめ、と覚えておこう!
次に、ETFと投信信託の特徴と仕組みをもう少し詳しく見てみましょう。
ETFの特徴と仕組み
ETFは、株式市場に上場している投資信託です。株式と同じように、市場価格で売買が可能です。
基本的な特徴 | 主な運用方法 | 新NISA口座での取り扱い |
---|---|---|
取引所を通じて売買 取引時間内であれば売買可能 1日の値動きをリアルタイムで確認できる | インデックス運用が中心 透明性の高い運用 | 成長投資枠で主に購入可能(つみたて投資枠では一部の商品のみ対象) |
投資信託の特徴と仕組み
投資信託は、運用のプロフェッショナルが投資家から集めた資金を運用する商品です。
基本的な特徴 | 主な運用方法 | 新NISA口座での取り扱い |
---|---|---|
販売会社(証券会社や銀行)を通じて購入 1日1回、基準価額が算出される 運用報告書で詳細な運用状況を確認可能 | 分散投資が基本 運用方針に基づいた柔軟な投資が可能 | 成長投資枠、つみたて投資枠どちらでも購入可能 つみたて投資枠では手数料の低い商品が中心 積立投資との相性が良い |
ETFと投資信託のメリット・デメリットを徹底比較
新NISA口座での運用をするには、それぞれの商品特性を理解することが重要です。ここでは、ETFと投資信託のメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
ETFのメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
リアルタイムで取引できる ・取引時間中はいつでも売買可能 ・価格をリアルタイムで確認できる 低コストで運用が可能 ・取引時間中はいつでも売買可能 ・価格をリアルタイムで確認できる 投資対象の多様性がある ・株式以外にも債券、不動産、商品など | 取引に関する制約 ・積み立て投資ができない場合がある ・商品数が少ない ・最低取引単位がある 価格変動リスク ・市場価格で取引するため、急激な変動の可能性 ・取引時間中の値動きへの対応が必要 運用の手間 ・売買のタイミングを自分で判断 ・分配金の再投資も自分で行う必要がある |
ETFはリアルタイムで取引ができることが、大きなメリットです。



タイミングよく売買できれば、大きな利益が得られるね
一方で、積み立て投資ができない場合や、分配金の再投資が自動で実施されないので、複利の効果が得られないという点には注意が必要です。
複利の効果について詳しく知りたい方は、こちらもご参照下さい。


投資信託のメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
積立投資ができる ・自動積立が可能 専門家による運用 ・プロのファンドマネージャーが運用 ・市場調査や銘柄選択を任せられる ・運用報告書で詳細な情報を入手可能 少額から始められる ・100円から投資できる商品も ・分配金の自動再投資が可能 | ETFよりコストが高い ・信託報酬が年1%以上の商品もある リアルタイムで取引ができない ・解約に時間を要する場合がある ・市場の急変時に即座の対応が難しい 運用の裁量権がない ・投資判断は運用会社に委ねる |
投資信託の場合、多くの金融機関で積立投資ができます。また、分配金の自動再投資が可能なため、長期投資による複利の効果を受けたい場合は、投資信託が有効です。



少額から始められる点も合わせて、初心者には投信信託がおすすめだよ
新NISAでETFや投資信託に投資するときの留意点
新NISAでETFや投資信託に投資するときの留意点は、次の5点です。
- 長期的な視点での運用が大切
- つみたて投資枠のETFは商品が限られる
- 損益通算ができない
- ETFの購入のためには証券会社で口座開設が必要
- ETFの分配金を非課税にするために設定が必要
長期的な視点での運用が大切
新NISAは長期的な資産形成を目的としているため、短期的な利益を追求するのではなく、長期的な視点で運用することがポイントです。
特にETFは市場価格で取引されるため、短期的な価格変動に惑わされないよう心掛けることが重要です。



長期とは、数十年単位のことを指すよ。長期投資では、数日・数カ月ごとに一喜一憂しないことが重要だよ
つみたて投資枠のETFは商品が限られる
新NISAでは、つみたて投資枠で購入できるETFは限られています。これは、金融庁が定めた対象商品の要件を満たすことが難しいなどの理由があるためです。
一方で、成長投資枠を活用すれば、購入できるETFの選択肢も広がります。
ETF | 投資信託 | |
---|---|---|
新NISAの対象商品数 | 成長投資枠:279本 つみたて投資枠:8本 | 成長投資枠:1722本 つみたて投資枠:249本 |
損益通算ができない
通常の課税口座の場合、同じ年の損失と利益を相殺する「損益通算」ができます。これにより、本来利益にかかる税金負担を少なくすることができます。
一方、ETFや投資信託に限った話ではありませんが、新NISA口座内で発生した損失は、他の課税口座で得た利益と通算できません。


このため、新NISA口座で損失と、他の証券口座の収益を相殺して、税金を圧縮することができないという点には注意が必要です。
ETFの購入のためには証券会社で口座開設が必要
投資信託の場合は、証券会社や銀行で購入が出来るのに対し、ETFを購入するためには、証券会社で新NISA口座を開設する必要があります。銀行ではETFの取引ができないため、必ず証券会社を通じて取引を行う必要があります。
ETF | 投資信託 | |
---|---|---|
購入場所 | 証券会社のみ | 証券会社や銀行 |
ETFの分配金を非課税にするために設定が必要
ETFの分配金は、税金がかからないようにするために「株式数比例配分方式」で受け取る必要があります。この方法を選択しないと、分配金に税金がかかるため注意が必要です。
ETFと投資信託はつみたて投資枠と成長投資枠のどっちで買うべきか
ETFと投資信託を、新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠のどちらを利用するか悩む方も多いかもしれません。
筆者の結論は以下のとおりです。
- 【ETF】成長投資枠で投資
- 【投資信託】つみたて投資枠で積み立てる
ETFは、つみたて投資枠の場合、商品数が限られるため、商品数が多い成長投資枠の活用がおすすめです。
投資信託は、長期・積立・分散投資に適した低コストの商品が多いつみたて投資枠を活用するのが良いでしょう。
ETFと投資信託の具体的な商品例と選定ポイント
最後に、ETFと投資信託の具体的な商品例について解説していきます。



あくまでも一例として、参考にして下さい。
おすすめETFの具体例
新NISAの成長投資枠で購入することができる、おすすめETFの一例は以下です。
銘柄名 | 投資対象 | 取り扱い証券会社 | 信託報酬 | 純資産総額 |
---|---|---|---|---|
バンガードS&P500 ETF(VOO) | S&P500 | SBI証券、楽天証券など | 0.03% | 約547億米ドル(約81兆円) |
バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT) | 全世界株式 | SBI証券、楽天証券など | 0.08% | 約40億米ドル(約6兆円) |
NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信(1321) | 日経平均株価(日経225) | SBI証券、楽天証券など | 0.11715% | 104,222億円 |



信託報酬とは、運用期間中に毎日計算される費用で手数料のことだよ。また、純資産総額が大きいほど、安定性と一定の信頼性があるよ
バンガードS&P500 ETF(VOO)は、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500に連動し、低コストで運用が可能です。長期的な成長が期待される銘柄です。
バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)は、世界中の株式市場に広く分散投資できるため、リスクを軽減しつつ成長を狙うことができます。信託報酬はやや高めですが、グローバルな視点での投資が可能です。
NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信(1321)は、日本の主要な225銘柄に連動し、安定した運用が期待できます。純資産総額が大きく、流動性も高いです。
おすすめ投資信託の選定基準と具体例
新NISAのつみたて投資枠で購入することができる、おすすめ投資信託の一例は以下です。
銘柄名 | 投資対象 | 取り扱い金融機関 | 信託報酬 | 純資産総額 |
---|---|---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 全世界株式 | SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券など | 0.05775% | 45,798億円 |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | S&P500 | SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券など | 0.09372% | 57,964億円 |
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | TOPIX | SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券など | 0.143% | 2,326億円 |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 全世界株式 | SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券など | 0.191% | 5,469億円 |
楽天・全米株式インデックスファンド | 米国株式市場 | SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券など | 0.162% | 17,312億円 |



eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は「オルカン」と呼ばれる圧倒的な人気商品だよ
紹介したETFと投信信託の商品例は、それぞれ異なる特性を持っています。投資目的やスタイルに応じて選択することが重要です。
まとめ:新NISAでの投資商品選択のポイント
この記事では、新NISAにおいてETFと投信信託のどちらに投資すべきかについて解説しました。
要点をまとめると以下の通りです。
- ETFか投資信託のどちらがおすすめかは、個人により異なる
- ETFは手数料が安く、市場の動きを自分で判断したい投資家におすすめ
- ETFは証券取引所に上場しており、リアルタイムで取引可能
- ETFはリアルタイム取引や低コストがメリット、価格変動リスクや運用の手間がデメリット
- 投資信託は初心者や少額から始めたい人、手間をかけずに運用したい人におすすめ
- 投資信託は運用のプロが資産運用を行い、100円から投資可能
- 新NISAでは主に、ETFは成長投資枠、投資信託はつみたて投資枠での購入が適している
- 投資信託は積立投資や専門家による運用がメリット、ETFよりコストが高いのがデメリット
- 新NISAでは長期的な視点での運用が重要で、損益通算ができない点に注意
- ETF購入には証券会社での口座開設が必要、分配金非課税には設定が必要
- おすすめETF・投資信託の選定には、投資対象、信託報酬、純資産総額などを考慮する
商品選びでは、みなさんの投資目的や状況などが重要なポイントとなります。ぜひこのポイントを押さえて、新NISAの商品選びをしてみてください。